茨城県 大洗海岸にて早朝撮影 NiSi 可変ND+ND1000+ND8を使用してf/8・60秒の長秒露光をしています。
青の世界
これは「デジタルカメラの太陽マークのホワイトバランスはデイライトフィルムと同等の色味になるように設定されている」という仕組みと、日の出前日没後に太陽の青い波長の光だけが届く僅かな時間(ブルーアワー、ブルーモーメントとも言われる)に世界が青く写る現象を利用した撮影で「自然界にある本当の青」を追求した作品です。
人の眼で認識できるか否か、一瞬この世界全てを染める美しい“青”。そんな人間には創造(想像)することの出来ない本当の景色(色)の表現を追求しています。
(これらの写真は撮影後の色調整は一切行っておりません。ただし、青被りが強すぎる場合と人工光や月光を利用した写真は除く)
白の世界
私が風景撮影の際に最も注視している条件は「霧」
その奥に何かがある、いるのではないかというイメージの昇華。
単なる切り取りではなく一つのシーンに叙情感と奥行きをもたらす効果。
冬には霧氷となり雄大な自然の営みをも感じさせてくれる。
そこに光が加わることによって見えてくる無限の白が私の心を捉えて離しません。
銀の世界 - 銀残し -
銀残しとは、古来よりあるフィルム現像の技法(銀を反応させた後その銀を洗い流す作業を飛ばす事)で海外ではBleachBypassとも。
私はその技法をデジタル上で再現した独自手法に取り組んでいます。端的に言えば「コントラストが強くなり色がほとんど出ない」状態となるのが特徴。映画「マトリックス」(ウォシャウスキー兄弟監督)や「座頭市」(北野武監督)などにも多用された技術です。静けさを感じる中にもインパクトのある表現だと感じます。
フィルムの技法をデジタル表現することで全く新しい世界に出会える‥‥‥こんな世界があったのか、と。
碧の世界
自然の緑が見せてくれる色。そこに太陽の光が加わることによって様々な碧に出会えることがあります。
その色は私に大地のもつ生命力を感じさせてくれます。
さらに私は風景を絵画的に切り取ることにも注視しています。「絵のように見える。が、写真。」
絵画のように研ぎ澄まされた構図に写真が本来持つリアリティが備わることによって「あぁ、世界はこんなにも美しいのか。」と気付かせてくれるのです。
桜の世界
桜は日本人の「魂」とは良く言ったもので、気がつけば桜の前で魂を奪われたように一心に撮影している自分がいます。
気品がありつつも寂寥感があり、何かを求めるようでもあり、ただただ散っていく潔さもある。そんな日本人の美徳を具象化させたようなその姿に惹きつけられるのは当然のことかもしれません。
紅の世界
日本語には季節を表現する言葉がたくさんあり、そのどれもが美しいと感じます。特に秋では色に着目した言葉が多く、紅葉・黄葉・朱(あけ)・橙(だいだい)細かくなっていくと紅鬱金(べにうこん)・黄櫨染(こうろぜん)・赤朽葉(あかくちば)といった言葉も。
そんな深い深い色を伝える手段として時に写真は言葉を超えると信じます。人間が季節に触れて得る様々な感情が伝わることを願いつつ。
月光の世界
ふと見上げると月の光。車中泊を元に撮影に出掛けるとその光に惹かれて撮影を始める事があります。
目ではもちろん、ほとんど何も見えない。ですが、とても長い長いシャッタースピードでカメラが一生懸命に光を集めることでようやく見えてくる世界がそこにはあるのです。
追記:私の写真にときにザラッとした粒状感のあるものがあります。それらは超高ISO感度撮影した際のノイズを利用した表現です。